多孔体解析ソフトウェアExFact Analysis for Porous/Particlesが第34回中小企業優秀新技術・新製品賞 ソフトウエア部門「優秀賞」を受賞!

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(エクスファクト・アナリシス フォア・ポーラス/パーティクルズ)

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第34回中小企業優秀新技術・新製品賞
主催 りそな中小企業振興財団 日刊工業新聞社
後援 経済産業省 中小企業庁 中小企業基盤整備機構

受賞のご挨拶

6c44e97b02eab8102daf71c4d3d3e6ca_f992.jpg 8年ぶり2度目の本賞の受賞、社員一同、欣喜雀躍しております。このソフトウエアは以前から存在した製品ですが、コロナ渦の期間にソフト屋として何ができるかを考え、近年のこの分野の分析需要の高まりを受けて、じっくりコツコツ改良に取り組んだ結果、顕著な機能/性能向上を果たし、応募を思い立った次第です。
 弊社は、可視化や画像解析を永く手掛けてきた専門企業として、先端材料開発を目指す企業、研究者の皆様と伴走し、我が国のマテリアルサイエンスの発展とお客様の具体的成果に貢献できるように、今後も研鑽を積んでまいります。
 ソフトウエア製品にもスポットを当て、本賞を継続されている主催者に敬意を表し、これまで出会ったすべての方々に改めて深く感謝申し上げたいと存じます。弊社がお役に立てそうなことがございましたら、お声を掛けて頂けますと幸いです。

2022年4月吉日
代表取締役 滝 克彦

多孔体材料とは?

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  • 多孔体材料(Porous Material)は、生活に身近な、そして様々な先端分野で用いられています。例を図中に挙げました。
  • 多孔体材料は、空隙やマテリアルが不規則に分岐した連通(れんつう)構造を持っています。
  • その構造を由来として、多孔体材料に求められる機能・性能は、多岐に渡ります。
  • 材料が持つ複雑構造と機能/性能の相関やメカニズムを分析し、課題を解決。その成果や情報を製造・経営にフィードバックしていくことが求められています。
  • 近年は特に、エネルギーや環境に関する研究開発が急増しています。いずれもグローバルな社会的課題に関連し、日本の今後の国際競争力を左右する先端的なテーマばかりです。

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どんなソフトウエアですか?

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  • FIB SEM, X線CTといった分析用イメージング装置から得た三次元画像を入力として、多孔質材料等の三次元的なネットワーク構造に着目した画像解析を行うソフトウエアです。
  • 空隙/マテリアルいずれかの連通構造について、中心軸(Median Axis)と、くびれた部分にフタをして定義されるThroatにより、複雑な構造情報をスマートかつロバストに記述する基礎技術「3DMA」に基づいて開発しました。
  • risonaWEB_PP_prized_plots.jpg多孔体の複雑構造を有効に評価できる特徴量を多数、算出し、整理された形式で出力できます。
  • 細線化処理により、連通孔すべてを抽出。入口と出口を設定した場合の経路も個別に認識します。
  • 構造と経路の両面から、多孔体材料を解析し、得られた数値データや可視化画像によって、人間の理解を超越した複雑構造を解釈し、材料開発に役立てていくことができます。
  • 3D画像の良質な二値化処理が行える独自のアルゴリズムを搭載し、分析の質が高いのが特徴です。
  • 一般的なWindows PCの64bit環境で動作。昨今のマルチコア環境において、並列処理・並列実行が可能で、大容量、多数のデータを効率的に処理できる。複数のデータの連続的な処理にも対応しています。
  • 別のソフトウエア ExFact VRとスムーズに連携し、効率的な処理と高度な美しい可視化、ムービー作成等が可能です。

開発の経緯

risonaWEB_PP_prized_MA.jpg ある時、弊社代表の滝は「3DMA」と称する技術を紹介した論文に目がとまり、感銘を受けました。3DMA(Medial Axis)とは、多孔体や繊維といった複雑な構造を細線化処理によって記述し、三次元的な解析を試みるソフトウエア技術の体系を指します。(当時)ニューヨーク州立大学Stony Brook校 W. Brent Lindquist教授によるご研究です。社員旅行の折りにマンハッタンにある大学サイトを訪問、その後、Lindquist先生を日本に招聘、弊社は同大学と技術移転契約を締結し、ユーザーインターフェースや入出力など、商用化のための開発を重ね、ソフトウエア製品として発売に至りました。

Lindquist教授からお祝いのお言葉

wbl_pic_trim_resize.pngMy congratulations to Nihon Visual Science for this award. It is an honor to have contributed towards their success. I thank NVS for their interest in this powerful porous media technology and for their insight in seeing its commercial potential.
I trust that the new award given to NVS will lead to even greater use of your products - congratulations.

受賞した日本ビジュアルサイエンス(以下NVS)にお祝いを申し上げます。同社の成功に貢献できたことを光栄に思います。NVSがこの強力な多孔体解析に関心を持ち、その商業的可能性を理解してくれたことに感謝します。この賞は、あなたの製品のさらに多くの使用につながると信じています。おめでとうございます。

テキサス工科大学 W. Brent Lindquist教授

ユーザーの佐光様から、お祝いのお言葉を頂きました!

 この度は、優秀賞の受賞おめでとうございます。私たちは、高分子材料の研究開発をAIで加速するためのツールとして、本ソフトウェアを日々利用しています。高分子材料は、多孔質・複合体・ブレンド・結晶といった多彩な内部構造を設計することで、新機能創出や性能向上を実現することができます。3次元連通構造の特徴を数値として定量化できる本ソフトウェアは、データ駆動型研究の基盤として必須であり、さらなる機能拡張を期待しています。

(国研)物質・材料研究機構データ駆動高分子設計グループ 佐光貞樹様
https://samurai.nims.go.jp/profiles/samitsu_sadaki?locale=ja
(English: https://samurai.nims.go.jp/profiles/samitsu_sadaki?locale=en)

bookc_2117.gif専門書籍
マテリアルズインフォマティクスのためのデータ作成とその解析、応用事例
(技術情報協会)
https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2117.htm

佐光様の書かれた「マテリアルズ・インフォマティクスを活用した高分子多孔体の構造解析と材料開発」より一節を引用:

「3次元構造を可視化し、そのデータが内包する構造情報を引き出し、材料特性の向上と背景に隠れた機構解明につなげることで、材料開発の加速と材料科学の理解が深まる」

処理・応用の例(弊社スタッフによる近著)

6101_page-0001_resize.png「ポスト3Dイメージングのアプリケーション」 Applications for post 3D Imaging
滝 克彦,古賀玄義,間杉綾乃,登丸彩子

まてりあ (Materia Japan) 日本金属学会会報 2022年61巻1号 p. 15-21
https://www.jim.or.jp/journal/m/

より、多孔体解析について、関連部分を要約

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多孔体材料の三次元画像解析

 多孔体材料の利用シーンを想定すると,空隙を通過する流体の透過や拡散が材料の機能や性能を特徴付ける因子と考えられる.この種のマテリアルを画像解析する場合,特にそのネットワーク構造に着目する.
 我々のソフトウエアでは,3DMAと称する手法を用いて,3D画像を細線化し,そのネットワーク構造を記述・解釈することによって,粒子や空隙の形態や分布を統計的に評価/分析することができる.Medial Axis(MA)は二値化した3D画像の空隙/マテリアルいずれかに対して求めた中心軸を意味し,さらにMAの経路に沿って連通する空隙について,細くくびれた部分に多面体を近似し,これをThroatと定義する.連通孔を流体が通る場合に,くびれ部分がボトルネックとなることから,Throatの面積を求めて,これを多孔体の連通性を評価する指標のひとつとして採用する.そして,つながった空隙をThroatで仕切ることにより,分割された空隙(Nordal Pore)を個別に認識する.

 

本ソフトウエアを使用した研究の例

三次元空隙ネットワーク解析によるリチウムイオン電池電極の評価法の開発
Electrochemistry Vol. 83 (2015) No.1

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リチウムイオン電池の電極材料に多孔体解析を適用し、経路長と直線的な最短距離との比 Tortuosity (迂回度/屈曲度)を求めて、導電パスの評価指標とする分析手法を開発しました。
図は空隙のネットワーク構造を細線化した結果で、上面から下面に至る経路を抽出し、右図2つは断層像を指定方向に投影して得られるMIP(最高輝度透影)画像で示しています。方向と入口を限定すると、各経路はお互いにつながっておらず、上面からみると一定の範囲を占有して広がっていることが分かります。

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電気化学会において受賞!

論文集をご希望の方は、弊社Webサイトからご請求ください(無料)

弊社スタッフから受賞のご挨拶

 今回の受賞を大変嬉しく思っております。本製品の今回の改良では、開発途中のテストや開発後のお客様への説明資料作成、トレーニングに携わっております。私自身は、このソフトウエアを日常的に使用しており、この製品を通じてお客様と直接関わらせていただいているため、その分、思い入れも強い製品です。基本となるアルゴリズムや解析手法に加え、今回追加された機能と性能が認められたことはこの上ない幸せです。多くのユーザー様の研究開発に貢献できるよう、日々研鑽を積んで参ります。

間杉綾乃

 本製品の受賞につきまして、喜ばしく、また名誉なことと思います。本件に関しては、周辺ツールの改修、選考過程の諸業務の補助、広報等で関わりましたが、本製品について知るほどに、諸産業分野へ見込まれる貢献とその意義の大きさに驚かされました。この度のアップデートにより、顧客の皆様へよりよい形で、より容易に、より充実した多孔体解析の結果をご提供し、それが弊社の利益のみならず、国内の産業の進展の一助となりましたら、これにまさることはございません。この度の評価は、そうした期待を共有いただいた結果と考え、心に留めて参ります。

古賀玄義

経過と今後の予定

2022.4.15 日刊工業新聞で発表
特設Web ページをオープン
2022.4.22 経団連会館 国際会議場において贈賞式が開催
2022.5.6 日刊工業新聞にお喜びの声が掲載されました。
2022.7.6 日刊工業新聞に「開発の舞台裏」と題した記事が掲載されました。
2022.11 りそな中小企業振興財団による機関紙「かがやき vol.34」に掲載されました。

2022.4.22 贈賞式が開催されました。

 

関連情報

「中小企業優秀新技術・新製品賞」の概要 https://resona-fdn.or.jp/shingijutu.html

日刊工業新聞 https://www.nikkan.co.jp/

中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/

中小機構 https://www.smrj.go.jp/

過去の受賞特設Webページ

2013年 東京都ベンチャー技術大賞 および 第26回 中小企業優秀新技術・新製品賞
三次元画像ソフトウエア「ExFact VR

特設ページ - 2013年 東京都ベンチャー技術大賞 および 第26回 中小企業優秀新技術・新製品賞

2018年 世界発信コンペティション
多角的偏光イメージングシステム「Polamazing®(ポーラメージング)1000

弊社の開発した多角的偏光イメージングシステム「Polamazing®(ポーラメージング)1000」が、 東京都の主催する「2018年 世界発信コンペティション」において特別賞を受賞しました。

弊社について

沿革・受賞歴  親戚筋に説明しづらい、マニアックな道を歩んできたソフト屋ですが、ごく稀に少しだけ脚光を浴びることがあります。

メッセージ  富山県出身の弊社代表が何やら語っています。

会社概要  1997年設立。巷の華やかなベンチャー企業様とは対極をいく、固くて地味な小さい会社です。

地図  新宿駅東口の喧騒を抜けたエリアにオフィスがあります。新宿文化センターやスクエニ様の大ビルディングが至近。