↓ 過去の記事 の一覧へ
弊社開発の計測システムについて執筆した論文が掲載されました
弊社は先だって、独自に考案した「計測テンプレート」を用いた自動計測システムを開発し、当該システムの構成、有用性について論文を執筆しました。
この度、その論文が、オンラインジャーナルMDPIにて掲載されましたのでお知らせいたします。
本論文の要旨
歯科矯正学の分野では、顎顔面骨格の特徴を調べるために、X線透視画像を用いたセファログラム(cephalogram)計測に基づく分析が広く行われています。
本論文で扱う新規に開発したシステムは、X線透視画像の代わりにCBCT(Cone beam computed tomography)で撮像されたDICOMデータ(3次元画像)から、RPA(Robotic process automation)を用いてセファログラム相当のレンダリング画像および鼻腔の計測用の断面画像(2次元画像)を自動で生成し、これを計測の対象とします。
当該システムは、セファログラム相当の画像の上に、位置を自由に動かすことができる「計測マーカー」が乗った階層(レイヤー)構造を持つ画像データ(計測テンプレート, 冒頭の図)を用いている点に特徴があります。計測テンプレートを用いると、専門知識を持つ矯正歯科医がたくさんの計測ポイントを簡便に指示することができ、作ったデータはネット上で容易にやりとりすることができます。こうした利便性により、時間と場所の隔たりを超えて、顎顔面計測の分担とコラボレーションが実現されました。実際に、当該システムは神奈川歯科大学 山口徹太郎先生らの実施するプロジェクトで使用され、500名に及ぶ多国籍の患者の顎顔面骨格の、複数側面/断面に対する効率的な計測を実現することで、遺伝学的分析を行う研究に寄与しました。
本論文では、当該システムの構成のみならず、その運用の詳細、計測事例、効率の評価、画像計測において考えられる既存のアプローチに対する優位性、他分野への発展や見込まれる機能拡張について、詳細に論を展開しています。
掲載情報
著者 | 古賀玄義, 滝 克彦, 間杉綾乃 |
発表年 | 2023 |
タイトル | Efficient Measurement Method: Development of a System Using Measurement Templates for an Orthodontic Measurement Project |
掲載紙 | Software Vol. 2, Iss. 2 |
URL | https://doi.org/10.3390/software2020013 |
この論文はオープンアクセスとなっており、リンク先のページからどなたでも全文を閲覧することができます。
本システムで用いられている計測テンプレートは、歯科分野に限らず、目視で検査を行っている工業製品や医療画像等にも適用が可能です。
同様なことをされたい、歯科分野の研究者の方、当該技術にご関心を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非お気軽にご相談ください。
▲2023年6月、本論文がSoftware誌のハイライトに取り上げられました!