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日刊工業新聞紙面に弊社の紹介記事が掲載されました
掲載記事全文
日本ビジュアルサイエンス(NVS)は、X線コンピューター断層撮影装置(CT)などから得た断層画像を分かりやすく可視化するソフトウエアの開発や受託解析を中心に18年間にわたって実績を積み上げてきた。
対象領域は医療や工業製品、材料など広範囲におよび、ナノ(10億分の1)単位の世界までカバーする。2013年に高松空港に緊急着陸した「ボーイング787」の電池故障の解析で、日米の運輸安全委員会に協力するなど〝黒子〟としての出番も多い。
一方で「3次元画像ソフトを主役として世の中に普及させたい」(滝克彦社長)との思いも強く、「渾身の一作」として13年に独自に開発したソフトウエア「ExFactVR 2.0」を製品化。ベンチャー技術大賞奨励賞や中小企業優秀新技術・新製品賞ソフトウエア部門優秀賞を相次ぎ受賞した。
「原理はパラパラ漫画と同じ」(同)。連続的な断層画像を圧縮処理して、2次元・3次元画像として手軽に再現できるのが特徴。画像は無償で入手できる動画ソフト「クイックタイムプレーヤー」上でサクサクと動く。電機・電子、材料などの高度なモノづくりに加え、病院のインフォームド・コンセント向けの引き合いも出てきた。
11月にはX戦CTなどの実物の3D画像をもとに、対象物の内部まで〝見える化〟できるリアルな模型を制作する新事業「エキシビッツ」を立ち上げた。断層画像を印刷した半透明なプラスチック板を積層させ、正面から見ると1枚1枚の画像が精緻に重なり、対象物をX線で撮像したように内部が透けて見える。
エキシビッツの原点について「美術作家の深堀隆介氏が描いた金魚の作品だ」と滝社長は打ち明ける。ヒノキの升の中にアクリル樹脂を流し込んで金魚の絵を描き、それを幾層も積み上げて立体的に仕上げる深堀氏の技法を見て、「断層画像を使って模型を作れないかと着想した」。模型を見やすくセンスよく仕上げるには技能も必要。滝社長は4月から産業技術大学院大学で学び、デザインやモノづくりの勉強を始めている。エキシビッツの展開として、まずは実物のデータを使った研究成果の発表や、生き物の内部までリアルに見える展示などを見込む。